ライナーノーツ
秋桜 〜more & more〜       

 初のマキシシングル『Classics One Christmas time』から約10ヶ月、DEEN待望のセカンドマキシ『Classics Two SEPIA 秋桜 〜more & more』がリリースされる。 ファーストが冬景色を想起させる "WHITE" マキシだとしたら、今回は木々の葉が色づき始める季節と、切なさに彩られた心象風景を重ね描いた "SEPIA" マキシということになるのか。
 "Classics"と名づけられたDEENのマキシシングルを僕は、コンセプチュアルなテーマをもったミニアルバムと捉えている。 そのテーマとは、ある季節の中で恋人たちが織りなすラブストーリー。そこでは恋人たちが、現在から過去へと時間軸を行き来しながら、真実の愛をみつめていく姿が描かれていく。 時に気持ちのすれ違いか生じる誤解や、駆け足のような日々の中で、優しさを置き忘れてしまうこともあるのだけれど・・・。
 紆余曲折を経て、今やっと自分の育った街を彼女に見せることができる、と旅立つ瞬間までの2人を描いたのが "Classics" の第1章だった。 そしてこの第2章では、別離の影が2人に忍び寄る。
もうひとりじゃない、未来を信じて、君とどこまでも歩き続けていこう、と願ったにもかかわらず、別れの時は避けることができなかった。
 秋雨が南向きの窓を強く叩いている。 窓を伝い落ちる雨の滴が、まるで頬を伝う涙のようにも見える。セピア色の部屋に独り、もういない君の面影を抱きながら、君の支えになれなかった自分の弱さを思い、この場所から動けない。 窓辺には、2人で育てた秋桜が、静かに咲いている・・・。
 雨の音や匂いまでも届いてきそうな映像感のある歌が、聴く人をまるで映画を観ているような心情へと誘う。 スパニッシュ・ギターソロ「秋桜 ()」に導かれるように、「秋桜 〜more & more〜」が始まる。 スパニッシュ色の力強いアレンジをストリングスの繊細な音色が絡み合った時、切なさと、もう取り戻せないという真実が、よりいっそう胸に迫ってくる。
 トランペットの音がセピア色に暮れていく街並を想わせる「恋人よ、夢も嘘もすべて」。 アコギのスライドをフィーチャーしたイントロから始まる「未来のために」は、ライブでのアコースティックコーナーを連想させる"Sing-along"ヴァージョンで収録。 さらに9枚目のシングルとして'96年に発表した「ひとりじゃない」も、ボサノバスタイルで再録したニューヴァージョンだ。 そして、このマキシはア・カペラによる「秋桜 (Reprise)」で終わる。 "more & more〜"と、やるせない胸の内を歌う池森のヴォーカルが、まだ君との関係をセピア色の想い出にしたくなかった、と告げているかのように響き、消えていく。 とてもドラマチックなエンディングだ。 いったいこれから2人はどうなるか。 僕は今、もう次作の"Classics Three"が待ち遠しくてしかたない。
(伊藤博伸)